花粉症、大丈夫ですか。

当院の診療シリーズです。

今年は花粉症の患者さんが多くなっています。マスクでは防ぎきれないようです。
当院では、というより、当院に来る前の基本として、お化粧をしていない時はなるべく水道水で顔を洗いましょう。薬を使っても、花粉が目や鼻の中に残っていると、アレルギー反応が残ってしまいます。

さて当院に受診されると、過去の履歴を伺います。毎年この時期に同じような症状を繰り返していたり、他院ですでに花粉症と診断され治療を受けたことのある方は、簡単に喉、鼻、目を診て処方します。
もし初めての方なら、鼻水を採取して中のアレルギー細胞(好酸球)を顕微鏡で確認します。10分くらいで結果が出ます。これで風邪か、アレルギー性鼻炎か、区別ができます。

よく血液のアレルギー検査を求められますが、初回の診断には使用しません。血液のアレルギー抗体では、今の鼻水が風邪なのか花粉症なのか区別できないので。好酸球染色検査の方が、今のアレルギー反応を診断するのに有用です。ただし花粉症の原因が、スギなのか、他の草花なのかはわかりません。長引いたり、おなしな時期に鼻炎になった時には、採血をして参考にすることがあります。

薬ですが、一回の注射で一シーズン効く注射はしていません。一般にステロイドの注射なので、全身的な副作用が心配です。

それよりも吸収されにくく工夫されたステロイドの点鼻薬が安心です。季節性の使用なら子供でも安全性が確認されています。よく効いて強力で街の薬局でも売っていないのですが、問題は即効性がないことです。使って数日して効いてくる。街の薬局の点鼻薬は血管を収縮させるので、すぐスッとしますが、それがありません。実はこの粘膜を収縮させる点鼻薬は、粘膜を肥厚させてかえって鼻閉を長引かせるという副作用があります。なので緊急時のみ使用してください。

目薬は抗ヒスタミン薬を使います。ステロイドの目薬は強力ですが、副作用が心配なので当院は処方していません。それより目を水道水で洗う、手で目を擦らない、をお願いしています。

飲み薬は、今はレボセチリジンを使っています。ザイザルのジェネリックです。抗ヒスタミン作用のある薬は、人によって効き具合や眠気などの副作用が異なります。当院がレボセチリジンを選んだのは、花粉症の私に有効で、眠気が少ないからです。院内処方なので同じような薬を複数抱え込むことができません。私を基準にしてしまって、申し訳ありません。(他の薬を希望される場合は院外処方箋を書かせていただきますのでお申し出ください)

それから、当院受診される時にはすでに顔はグジュグジュ、夜も眠れなくなっている場合があります。このような時は非常事態ですから、2〜4日強い薬を飲んでもらいます。セレスタミンというステロイドが少量入った古い薬です。眠気が強くなるので朝寝坊や車の運転は注意が必要でが、苦痛からすみやかに離脱できるようです。

以上が花粉症の患者さんに私が処方する主な薬剤です。どれをもちいるにせよ、手で目を掻かない、鼻水は水道水で洗い流す、などの対策が基本になります。かゆいのに掻けないのはつらいですね。かゆくなる前に、定期的に薬を使用しましょう。